新潟県弁護士会

声明・意見書

2017年10月10日|声明・意見書

少年法の適用年齢引下げに改めて反対する会長声明

1 法務省の法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会は、少年法の適
 用年齢を20歳未満から18歳未満に引き下げることを議論しています。
  この議論は「引下げありきではない」ことを確認しながら進められているようではある
 ものの、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げるという議論とも並行しており、
 既に実施された選挙権年齢の18歳への引下げと併せて、法体系の整合性が引下げの大き
 な理由づけの一つとされています。
2 当会は、2015(平成27)年6月11日、「少年法の『成人』年齢引き下げに反対
 する会長声明」を発し、少年法の適用年齢引下げに反対の立場であることを表明しました。
  その際に反対の理由として挙げたのは、少年犯罪は人口比において減少を続けているこ
 と、一定の凶悪重大な犯罪に当たる事件を起こした少年については現行法によっても原則
 として成人同様に起訴し処罰することが可能であり、さらなる厳罰化の必要に乏しいこと、
 罪を犯した18歳、19歳の少年が家庭裁判所や少年鑑別所等の関与を受けてその性格や
 環境等の問題点を把握された上で矯正教育を受ける機会を失わせることは、少年の更生に
 とって問題であること、等でした。
  それらの理由づけは今も変わりありません。何よりも、適用年齢引下げの必要性がある
 こと、すなわち、現行の少年法による18歳、19歳の少年に対する処遇に問題があるこ
 とは、何ら論証されていません。
  上記法制審議会の部会においても、参考人としてヒアリングを受けた少年鑑別所長、少
 年院長、少年刑務所の元所長や職員、保護観察官、保護司、家庭裁判所調査官らは、総じ
 て、現行の少年法に基づく少年審判手続の対象となる18歳、19歳の少年が一昔前に比
 べてさらに精神未成熟となっていること、少年鑑別所による資質鑑別や家庭裁判所調査官
 による調査など、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識を活用した調査(少
 年法9条)が家庭裁判所による処分決定に活かされてきたこと、その後の保護観察処分や
 少年院、少年刑務所における少年への矯正教育にも活かされ更生につながっていったこと
 を述べています。
  18歳、19歳の少年を取り巻く社会環境を改善することなしに、少年法の改正によっ
 て、いわば上から18歳、19歳を「大人」と扱うことだけで、彼らの「大人」としての
 自覚が高まり、精神が成熟し、非行が減少するなどとは、考えにくいのではないでしょう
 か。長年の間、少年の更生に成果を上げてきた現行の少年法の保護主義の理念、科学主義
 に裏付けられた環境調整機能や矯正教育をさらに充実させることこそが、非行減少や少年
 の更生のための有効策だというべきです。
3 法務省の 「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」が平成27年末に国民
 を対象に実施した意見募集においても、意見総数664件に対し、少年法の適用対象年齢
 の引下げに反対の意見が634件と圧倒的多数を占めました。
  そもそも、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることについても、未成年者
 の消費者被害からの保護の観点から慎重な検討が必要であり、当会は反対の立場を表明し
 ました。
  仮に民法の成年年齢が引き下げられたとしても、警察庁は、競馬や競輪などの公営ギャ
 ンブルや飲酒・喫煙の可能年齢は現行どおり20歳以上を維持する方向で検討していると
 報じられており、法律の趣旨目的に従って法律ごとの異なる成年年齢を設定しうることは
 明らかです。
4 以上の理由により、当会は少年法の適用年齢引下げに改めて反対する旨を表明し、法務
 省に対し、結論を決して急がず、現行少年法の運用に携わってきた現場関係者の声に耳を
 傾け、冷静な議論をなされることを要望いたします。

                    2017年(平成29年)10月10日
                       新潟県弁護士会
                          会長 兒 玉 武 雄

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