新潟県弁護士会

声明・意見書

2011年02月28日|声明・意見書

各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める決議 決議理由

1 個人通報制度の導入について
(1) 個人通報制度とは、人権条約の人権保障条項に規定された人権が侵害され、国内で手段を尽くしても救済されない場合、被害者個人などがその人権条約上の委員会に通報し、その委員会の見解を求めて救済を図ろうとする制度である。
(2) 国際人権(自由権)規約、女性差別撤廃条約は、条約に附帯する選択議定書に個人通報制度を定め、人種差別撤廃条約及び拷問等禁止条約は、本体条約の中に個人通報制度を備えている。したがって、わが国が選択議定書の批准、あるいは当該条項の受諾宣言をすることによって、個人通報制度を実現することができる。世界では既に多くの国が個人通報制度を採用しており、OECD加盟30か国やG8の8か国など先進国とされる諸国の中で何ら個人通報制度を有していないのは日本だけである。
このような事態を踏まえ、2008年の国際人権(自由権)規約委員会による第5回日本政府報告書審査に基づく総括所見をはじめとして、各条約機関から、政府に対し、個人通報制度の導入について度重なる勧告を受けるに至っている。このようなことは、わが国の国際的地位からしても誠にふさわしくないものと言わざるを得ない。
(3) また、日本の裁判所は、人権保障条項の適用について積極的とはいえず、民事訴訟法の定める上告理由には国際条約違反が含まれず、国際人権基準の国内実施が極めて不十分となっている。そのため、各人権条約における個人通報制度が実現すれば、被害者個人が各人権条約上の委員会に見解・勧告等を直接求めることが可能となり、わが国の裁判所も国際的な条約解釈に目を向けざるを得なくなると考えられ、その結果として、わが国における人権保障水準が国際水準にまで前進し、また憲法の人権条項の解釈が前進することが期待される。
(4) 日本弁護士連合会は、2010年5月の定期総会において、国内人権機関の設置等とともに個人通報制度の実現をするための決議を採択した。
民主党は、2009年の衆議院総選挙において個人通報制度の導入をマニフェストに掲げ、政権与党となった後も、法務大臣は幾度となくその実現に意欲を示す発言を繰り返しているが、現時点においてもその実現に至っていないのは誠に遺憾である。

2 国内人権機関の設置について
(1) 国内人権機関とは、人権侵害からの救済、人権基準に基づく立法や行政への提言及び人権教育の推進などを任務とする国家機関である。
国連人権理事会、国際人権(自由権)規約委員会、国際人権(社会権)規約委員会、女性差別撤廃委員会、人権差別撤廃委員会、子どもの権利委員会などが、わが国に対し、国内人権機関の設置を求める勧告をしている。
(2) 国内人権機関を設置する場合、1993年12月の国連総会決議「国内人権機関の地位に関する原則」(いわゆる「パリ原則」)に合致したものである必要がある。具体的には、法律に基づいて設置されること、権限行使の独立性が保障されていること、委員及び職員の人事並びに財政等においても独立性を保障されていること、調査権限及び政策提言機能を持つことが必要である。
(3) 現在、わが国には法務省人権擁護局の人権擁護委員制度があるが、独立性等の点からも極めて不十分であり、2002年に提出され、廃案となった人権擁護法案の定める人権委員会は、①法務省の外局として法務大臣の所轄におかれ、政府からの独立性の点に問題がある、②公権力による人権侵害のうち、調査・救済対象が「差別と虐待」に限定され狭すぎるなどの欠陥があった。
(4) 日本弁護士連合会は、2008年11月18日、パリ原則を基準とした「日弁連の提案する国内人権制度の制度要綱」を発表した。
さらに、2010年6月22日には、法務省政務三役が、「新たな人権救済機関の設置に関する中間報告」において、パリ原則に則った国内人権機関の設置に向けた検討を発表するなど、国内人権機関設置に向けた動きがみられており、今こそ、パリ原則に沿った国内人権機関の設置を実現すべきである。

3 結論
よって、当会は、わが国における人権保障を推進し、また国際人権基準を日本において完全実施するための人権保障システムを確立するため、国際人権(自由権)規約をはじめとした各人権条約に定める個人通報制度を一日も早く導入し、パリ原則に合致した真に政府から独立した国内人権機関をすみやかに設置することを政府及び国会に対して強く求めるものである。

2011年(平成23年)2月25日
新潟県弁護士会臨時総会決議

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