新潟県弁護士会

声明・意見書

2011年02月28日|声明・意見書

身体拘束を受けた少年に対する全面的国選付添人制度の早期実現を求める決議 決議理由

1 弁護士付添人の現状
(1) 国選付添人制度
2007年(平成19年)に発足した国選付添人制度は、その対象を、ア。いわゆる重大事件(①故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪、②死刑又は無期若しくは短期2年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪であり、「家庭裁判所が弁護士である付添人の関与が必要であると認めるとき」)、イ。被害者等による少年審判の傍聴が許されたときに限定している。このように極めて限られた制度であるため、2009年(平成21年)度の国選付添人の選任数は、全国で550人であり、これは少年鑑別所に収容された少年のわずか4.9パーセントに留まっている。
(2) 少年保護事件付添援助制度
弁護士による少年保護事件付添援助制度(以下、「少年付添援助制度」という。)は、財団法人法律扶助協会が1973年(昭和48年)から開始し、日弁連は、1995年(平成7)5月26日の定期総会において、刑事被疑者弁護援助制度及び少年付添援助制度を支えるために、特別会費徴収を決議し、以後特別会費の増額を繰り返しながら、同制度を維持してきた。
当会においては、2004年(平成16年)12月、当会基金からの援助により先駆的に当番付添人制度を創設し、2009年(平成21年)10月より、観護措置が採られた少年について全件付添人制度を実施している。これは、観護措置を受けた少年については、その少年が弁護士付添人の選任を希望する限り、弁護士会の責任により、弁護士付添人を選任するという制度である。
その弁護士付添人の費用は、前記の特別会費による「少年・刑事財政基金」(日弁連)からの支給のほか、当会の独自財源(法律援助基金)によって賄われている。
このように、当会では、日弁連及び当会の財源によって、観護措置が採られた少年について、ほぼ100%の付添人選任を実現している。

2 弁護士付添人の重要性
(1) 少年事件においては、少年が観護措置決定を受けた場合、観護措置の期間中に少年鑑別所での身体拘束を受けることとなる。また、審判の結果によっては、少年院送致、児童自立支援施設等への送致といった長期の身体拘束を伴う処分が下される可能性がある。このように、少年事件では、少年の自由を大きく制限する処分も含まれる。
(2) そのため、非行を犯していない少年が重大な処分を受けるといった冤罪を防止する必要があることは言うまでもなく、非行を犯した少年であっても、適正な手続により適正な処分がなされることが必要である。さらに、非行を犯した少年が、自立・更生して社会に復帰するための援助がなされることが必要である。
(3) 私たちは、このような弁護士付添人の必要不可欠性に応えるべく、少年の人権擁護のために付添人活動を行ってきた。すなわち、弁護士付添人は、少年の立場に立って真相を解明することで、非行を犯していない少年を冤罪から守ってきた。また、少年が非行を犯した場合でも、少年に対する処分が適正な手続により行われるよう付添人の責務を尽くし、必要以上に重い処分がなされないように活動をしてきた。さらに、非行を犯した少年に、内省を促し、被害者に対する謝罪や被害弁償を働きかけ、また、少年の社会復帰後の環境調整に取り組むなど、少年の自立・更生を援助してきた。

3 全面的国選付添人制度実現の必要性
(1) このような弁護士付添人の重要性やこれまで果たしてきた役割からすれば、現在の国選付添人制度が不十分であることは明白である。弁護士付添人により、少年を冤罪から守り、少年に対する適正な手続が確保されるよう活動し、少年の自立・更生を図る必要性は、現在の国選付添人制度の対象となる重大事件や被害者等の傍聴がなされる事件に限られるものではないからである。窃盗や傷害といった比較的軽微な非行事件、さらに少年法特有のぐ犯事件などについても、少年の人権を守り、少年の更生を図る弁護士付添人の活動は非常に重要である。
その意味からは、少なくとも、観護措置決定を受けて身体拘束を受けている少年については、少年院送致等の重大な処分を受ける可能性が高いことからも、弁護士付添人の存在は不可欠である。
(2) また、2009年(平成21年)5月21日からは、いわゆる必要的弁護事件については、被疑者国選制度が被疑者段階から国選弁護人を選任できるよう拡充された。そのため、少年も、被疑者段階であれば、窃盗や傷害などの必要的弁護事件について、捜査段階においては、国選弁護人を選任できるようになった。
しかし、成人であれば、起訴と同時に被告人国選弁護人が選任されるにもかかわらず、少年の場合には、前述のとおり国選付添人制度がいわゆる重大事件に限定されているため、家庭裁判所に送致されると同時に、多くの少年が弁護士の関与を失ってしまう制度とされている。このように、少年であるがゆえに、国費での権利保護を受けられなくなるという「置き去り」現象が生じてしまう点で、現在の制度には重大な欠陥がある。
(3) 日弁連及び当会は、このような「置き去り」現象から少年を保護するため、前記のとおり、少年付添援助制度による対応をしているものであるが、この法律援助制度は、我々会員が拠出した資金により運用されており、国選付添人制度が拡大されない限り、その拠出は継続されることになる。
しかしながら、少年の権利保護のために必要不可欠な弁護士付添人の報酬は、国の責務として国費で賄われるべきものであり、現状はあるべき状態とはいえないことは明らかである。

4 総会決議の必要性
日弁連は、2010年(平成22年)12月9日付「全面的な国選付添人制度の実現を求める弁護士会総会決議の発表について(要請)」(日弁連人1第1007号)において、全国の各単位に対して、弁護士会総会決議を行うよう要請をしている。
当会としても、これまで先駆的に当番付添人制度及び全件付添人制度を実施してきた立場において、改めて、少年の立ち直りに不可欠な付添人活動に全力を尽くし、その能力向上ための研鑽を重ねる決意を表明するとともに、当会会員の総意として、身体を拘束された少年への全面的国選付添人実現の一日も早い実現を政府及び国会に強く求める必要があると考え、本決議の提案に及んだ次第である。

2011年(平成23年)2月25日
新潟県弁護士会臨時総会決議

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