新潟県弁護士会

声明・意見書

2011年03月23日|声明・意見書

労働者派遣法の早期抜本的改正を求める意見書

2008年秋の金融危機から生じた世界的不況の中で「派遣切り」が多発し、多くの派遣労働者が雇用と住居を失うという状況が生まれ、派遣労働者が極めて悲惨な状況に陥っていることが明らかになった。派遣労働者の多くは、安定した生活基盤を確保することができず、将来に希望を持てず不安な毎日を送っており、ワーキングプアという社会のあり方の基本にかかわる深刻な問題を惹起している。派遣労働に対する規制強化は今日の貧困問題を克服するための喫緊の課題であり、早急に制度の抜本的見直しが必要であることが既に明らかになっている。
このような経緯から、労働者派遣法改正法案(以下「改正法案」という)が昨年通常国会に提出されたのであるが、その後、実質的審議がなされないまま、現在も継続審議となっており、その間依然として、日雇い派遣その他派遣をめぐる問題点は解決されないままとなっている。
当会は、雇用契約は直接雇用が原則的形態であることを確認し、そのうえで、派遣労働を雇用形態の「例外」として厳格に制限しなければならないと考える。上記の改正法案は規制強化に舵を切るものとして評価すべき点もあるが、他方で、以下の事項については、不十分であるから、国会審議を通じて、早期のよりよい派遣法改正の実現を強く求めるものである。
(修正審議を求める重点項目)
① 登録型派遣の全面禁止
登録型派遣は「雇用の創出」や「マッチング機能」を理由に創出されたものであるが、
これは派遣業者による不当な中間搾取や雇用の不安定・劣悪な労働条件の温床と
なっており、正規社員が派遣社員に切り替えられている現状を鑑みると雇用の
創出効果も認められない。
よって、登録型派遣は全て禁止する法改正がなされるのが望ましいと考えるが、
少なくとも改正法案のとおり登録型派遣は原則として禁止すべきであり、
例外とされる「専門26業務」についても、派遣労働者保護の観点からその
範囲の見直しと絞り込みについて早急に検討することが必要である。
② 製造業派遣の全面禁止
改正法案では製造業派遣を原則禁止とし、例外として「常用雇用派遣
(一年以上の雇用期間の派遣)」を除いている。しかし、この常用雇用派遣は
製造業派遣の約6割に当たり、完全に法の「抜け穴」となっている。
製造業派遣は単純作業が中心で雇用調整の影響を受けやすく、雇用が極めて
不安定で劣悪な労働条件となりやすいため、本来は、2003年の規制緩和までと
同様に全面禁止すべき業種である。仮に、改正案のように、常用雇用を例外とする
場合には、期間の定めのない雇用契約に限定するなど定義を明確にする必要がある。
③ 派遣先企業の団体交渉応諾義務
派遣労働者は派遣元企業との契約で派遣先企業の指揮のもと労務の提供をする
ものであり、形式上派遣先企業との間には契約関係はないが、実質的に雇用条件を
決定しているのは派遣先企業である。判例においても、労働者の派遣を受けて自己の
業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ
同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、
「使用者」にあたり、団体交渉に応ずる義務があるとしている。
よって、派遣労働者の労働条件を左右する事項については、派遣先企業に
団体交渉応諾義務が存することを確認する規定を設けるべきである。
④ 違法派遣時の雇用申込みみなし規定
改正法案では、派遣先企業が、違法派遣と知りながら派遣労働者から労務の提供を
うけた場合には、その時点における労働条件と同一の労働条件で労働契約を
申し込んだものとみなすものとしている。
このみなし規定は意義のあるものであるが、「その時点における労働条件と
同一の労働条件」では雇用期間が限定されており、結局雇い止めを行われる
危険性があり、制度として不十分である。
よって、「期間の定めのない」労働契約を申し込んだものとするよう、
修正すべきである。

2011年(平成23年)3月22日
新潟県弁護士会常議員会決議

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