新潟県弁護士会

声明・意見書

2012年01月13日|声明・意見書

非弁行為に関する会長声明

2011年(平成23年)11月22日、新潟地方裁判所は、新潟市内において司法書士業を営んでいた者(有罪判決確定により司法書士資格喪失)に対し、司法書士業を営んでいたときに行った行為について弁護士法違反及び所得税法違反の有罪判決(懲役2年、執行猶予4年及び罰金1100万円)を言い渡し、判決は確定した。
新潟県弁護士会は、この元司法書士が、消費者金融業者等に対するいわゆる過払い利息金の返還請求業務について、かねて紛争の目的の価額が140万円(司法書士法第3条第1項第6号、裁判所法第33条第1項第1号により司法書士に対して例外的に代理権が許容された範囲)を超えるものにつき反復継続して受任し、返還交渉を行っていたとの情報に接し、当該行為が非弁行為に該当するおそれがあるとして調査を進めていたが、被疑事実の存在につき確証を得たことから弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)違反の被疑事実があるとして刑事告発を行っていた。この告発にかかる事実につき有罪の判断が下されたものである。
判例によれば、弁護士法第72条の趣旨は、以下のとおりである。
すなわち、弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、広く法律事務を行うことをその職務とするものであって、そのために弁護士法には厳格な資格要件が設けられ、かつ、その職務の誠実適正な遂行のため必要な規律に服すべきものとされている。弁護士法が非弁行為を禁止する趣旨は、このような資格もなく、何らの規律にも服さない者が、自らの利益のため、みだりに他人の法律事件に介入することにより、当事者その他の関係者らの利益を損ね、法律生活の公正円滑な営みを妨げ、ひいては法律秩序を害することを防ぐことにある(最高裁大法廷昭和46年7月14日判決参照)。
ところで、この声明で問題としている新潟地裁判決の事例は、司法書士資格を保持していた者が、司法書士の業務として、その雇用する事務員と共謀して遂行した点に特色がある。
もとより、司法書士資格や行政書士資格等の資格を有する者が、司法書士法や行政書士法その他の法令により法律事務の取扱いを許容されている場合において、その要件を遵守して法律事務を取り扱うことは合法的である。しかし、その要件が備わっていないような種類の法律事務に関わろうとすることは、司法をとりまく環境の不明朗化につながるものであり、いわゆる事件屋が暗躍する場合と実質的に異なるものではない。むしろ、資格という顧客の信頼のよりどころを背景とする分だけ善良な市民の被害が拡大する恐れが大きいとも懸念され、その防圧の必要性はより大きいと言いうる。
この点について、大多数の司法書士や行政書士は法令を遵守しようとしているものであると信ずるが、一部有資格者のホームページなどには、そのコメントどおりに当該ホームページ開設者が事件を受任した場合、弁護士法違反を生ずるのではないかと懸念されるようなものが散見される。また、弁護士会が行う法律相談にあがってくる市民からの声や、たまたま傍聴する民事法廷のやりとりなどからも、一部有資格者による、弁護士法との抵触が疑われる法律事務処理事案が少なくないことも想定される。こうした事例は、究極的には上記最高裁判例が懸念する関係者らの利益の侵害、法律生活の公正円滑な営みの阻害、法律秩序の侵害を招き、ひいて法の支配の空洞化にもつながりうるものである。私たちは、このことから目をそらすことはできない。
他面、私たちは、かかる事態を招来していることの一因が、市民の弁護士に対するアクセス障がいにあることについても、虚心坦懐に受け止めなければならない。
新潟県弁護士会は、市民に対し、法令に違反した非弁護士の法律事務の取扱いによる被害に十分留意するよう呼びかけると共に、今後とも会として非弁行為を座視することなく、弁護士法が非弁行為を禁止する趣旨に基づいてその根絶を目指し、引き続き断固たる対処をしていく所存であることを宣言し、併せて、法の支配の徹底のために、市民と弁護士との間の距離感を縮めるよう引き続き努めて行くことを誓うものである。
以上

2012年(平成24年)1月10日
新潟県弁護士会
会長  砂 田 徹 也

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