新潟県弁護士会

声明・意見書

2013年09月24日|声明・意見書

特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明

政府は、秘密保全に関する法制の整備のための法案化作業に取り組んできたが、2013年(平成25年)9月3日、法案化作業の検討結果を「特定秘密の保護に関する法律案(以下「本法案」という)の概要」として取りまとめた。しかしながら、日本国憲法の基本原理を尊重する立場から、以下の理由に基づき、当弁護士会は、本法案の国会提出に反対する。
1 国民の憲法上の権利などに重大な影響を与えるおそれのある法案の立法化には、当該法案を必要とする具体的な事情の存在が必要不可欠である。2011年1月4日に政府が設置した秘密保全のための法制のあり方に関する有識者会議で紹介された過去の情報漏えい事案については、自衛隊法の改正など既に必要以上ともいえる対策がとられているのであって、新たな立法を必要とする具体的な事情はない。
2 本法案において保護される「特定秘密」とは、「防衛に関する事項」、「外交に関する事項」、「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項」、「テロ活動防止に関する事項」の4分野のいずれかに関わる、秘匿性の高い情報(別表等であらかじめ列挙されたもの)と定義される。しかし、上記4分野の別表の定めは、具体的な対象を限定したものということができない。例えば、原子力発電所に関する情報は、発電所がテロリストの攻撃対象にされる「テロ活動防止に関する事項」とされうるなど、あらゆる情報が上記4分野に含むとする解釈が行われる危険性が高いからである。そのため、「特定秘密」の意義は不明確であると言わざるを得ない。2011年3月の福島第一原子力発電所の事故に関する政府の情報管理の運用実態に照らすと、行政機関に都合の悪い情報は全て「特定秘密」にされる危険性が高いものといえ、広範囲の重要な情報が国民から隠されるおそれがある。
3 本法案は、指定された特定秘密を保全するため、誰が当該情報を取り扱うにふさわしいのかを判断する制度として、適性評価制度が導入することを予定している。すなわち、本法案は、「特定秘密」の取扱いを行う職員に関し、当該職員本人のみならずその家族及び同居人の氏名、生年月日、国籍及び住所という個人のプライバシー情報の収集を認めている。しかし、「特定秘密」が広範囲であり、調査の対象者も広く、取扱者に関する調査事項も無限定に近いことも併せると、「適性評価」の名の下に職員のみならずその家族のプライバシーが侵害される危険性が大きい。また、本法案は、対象者に対する調査事項として、「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他活動並びにテロ活動との関係に関する事項」などを予定する。しかし、「我が国及び国民の安全への脅威となる諜報その他活動並びにテロ活動との関係に関する事項」の定義も不明確であることから、適性評価制度においては、行政機関の広範な情報収集に基づく恣意的判断によって思想信条を理由とする差別が行われるおそれがあり、思想信条の自由が侵害される危険性が高い。
4 本法案は、特定秘密の外部流出を防止するため、秘密漏えい、特定取得行為、教唆、共謀、煽動を処罰する規定を設けている。しかし、秘密漏えいの処罰は、特定秘密の意義が不明確であるため、国民に重要な情報を公開しようとする正当な内部告発を抑圧する。また、特定取得行為の処罰は、特定秘密の意義が不明確であることと併せて、対象となる行為の範囲も広範にわたるため、報道機関の報道の自由、国民の知る権利を侵害する危険性が高い。さらに、教唆、共謀、煽動と、全く特定秘密の漏えい行為がなされていない段階での処罰は、特定秘密の意義が不明確であることと併せて、過度の萎縮効果をもたらすという点で、報道の自由や知る権利を侵害する。
5 「特定秘密」の対象となる「防衛に関する事項」、「外交に関する事項」、「外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項」、「テロ活動防止に関する事項」の4分野は、主権者たる国民が判断すべき国政の重要な事項である。何が国政にとって重要なのかを判断するためには、政府が保有する情報を広く国民に開示することこそが望ましい在り方である。情報の統制を目的とする法案は情報開示の姿勢に真っ向から反し、国民主権を否定する危険性が極めて高いものである。
6 以上から、当弁護士会は本法案が立法化されることに強く反対し、政府が本法案を国会に提出しないことを求める。

2013年(平成25年)9月24日
新潟県弁護士会
会長 味岡 申宰

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