新潟県弁護士会

声明・意見書

2015年05月26日|声明・意見書

憲法の恒久平和主義及び立憲主義に違反する安保法制関連法案に反対する決議 決議理由

第1 安保法制関連法案の概要とその意味するところ~憲法の制約をすべて取り払う

1 安保法制関連法案の概要
政府が今国会に提出している「平和安全法制整備法案」及び「国際平和支援法案」(以下「安保法制関連法案」という。)は、以下の4項目について、従来は憲法上許されないとされてきた自衛隊の活動を新たに可能にしたり、憲法による制限を取り払って自衛隊の活動領域を広げたりするものである。
Ⅰ 集団的自衛権の行使、集団安全保障措置の一環としての武力措置への参加
Ⅱ 外国軍隊に対する「後方支援」
Ⅲ 国際平和協力活動における活動領域の拡大、武器使用基準の緩和
Ⅳ 外国軍隊の武器等防護のための武器使用、及び在外邦人の救出

2 従来の法制
(1)国際法の枠組み
武力の行使は、国際法上、原則として禁じられている(国連憲章2条4項)。
例外的に武力の行使が許容されうるのは、集団安全保障措置の一環としてなされる武力措置、並びにその措置がとられるまでの間に認められる個別的自衛権の行使、及び集団的自衛権の行使の3つの場合に限られる。
これらは、「われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い」たい(国連憲章前文)という痛切な反省と決意に基づき定められた規定である。
(2)日本国憲法による制限
我が国は、憲法9条の下で、上記3つのうち個別的自衛権の行使のみが認められるとし、さらにその個別的自衛権の行使に対しても、①我が国に対する急迫不正の侵害があること、②これを排除するために他の適当な手段がないこと、③必要最小限の行使にとどまることという3要件により縛りをかけてきた(専守防衛)。そして、自国が攻撃されていないにもかかわらず武力を行使することになる集団的自衛権の行使や集団安全保障措置の一貫としての武力措置への参加は、①の要件を欠くことから認められないとされてきた(前記Ⅰ)。
また、外国軍隊に対する「後方支援」を行うに際しても、個別に特別措置法を制定して、目的や時期を区切るとともに、非戦闘地域において限定した支援業務しか行えないこととして「他国の武力行使と一体化しないよう」に制限を加えてきた(前記Ⅱ)。
さらに、国連平和維持活動(国連PKO)への協力として自衛隊を海外に派遣する場合には、PKO5原則(①紛争当事者の間での停戦合意の存在、②活動対象地域国及び紛争当事者の同意、③国連平和維持隊の中立性確保、④上記原則のいずれかが満たされなくなった場合には撤収すること、⑤武器使用は要員の生命等を防護するため必要最小限を基本とすること)を厳格に遵守することを要求するとともに、それ以外の自衛隊海外派遣に関しては派遣先でなしうる任務を人道復興支援に限定して認めてきた。
加えて、自衛隊員が武器を使用しうる類型を、自然的権利に基づく自己保存型のものに限定してきた(前記Ⅲ、Ⅳ)。
(3)制限によりもたらされたもの
これらの制限の中には、その程度の制限しかしないのであれば違憲の疑いが強いと考えられたもの(前記Ⅱ)も含まれてはいるものの、これらの制限は、それによって、自衛隊の活動を規律する法律と、恒久平和主義を採用する憲法との整合性をぎりぎりで保つためのものであり、同時にこれらの制限の存在が日本に対する国際的信頼の基盤の1つともなってきた。
またこれらの制限が、我が国及び自衛隊員を含む我が国の国民を守ってきたことも紛れもない事実である。これまで戦闘による自衛隊員の犠牲者が1人も出ず、自衛隊員が戦場で1発の銃弾も発砲せずに済んだのはこうした制限があったからである。

3 安保法制関連法案は憲法の恒久平和主義、及び立憲主義に反すること
(1)恒久平和主義に反すること
安保法制関連法案が成立すれば、前記の制限はほとんどすべて取り払われることとなる。
すなわち、自国が攻撃されていないにもかかわらず武力を行使しうることとなり(前記Ⅰ)、外国軍隊の武力行使と一体化する「後方支援」を行うことも可能になる(前記Ⅱ)。また、武力行使に至る危険の高い自己保存権の範囲を超えた武器使用も認められる(前記Ⅲ、Ⅳ)。
これらは、いずれも憲法が定める恒久平和主義に違反する。
(2)立憲主義に反すること
立憲主義は、憲法によって権力に縛りをかけて人権を守ろうとする、近代憲法の基本理念である。日本国憲法は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を制定する」(前文)として、立憲主義に基づく平和主義の立場を明確に採用している。
この立憲主義の中でもとりわけ重要なのが、個人の自由や権利を侵害するおそれの大きい実力組織の抑制である。日本国憲法では、憲法9条の規定により、実力組織が暴走しないための明確な歯止めが設けられている。
このような憲法規範の内容を、憲法改正の手続もとらず、法律の制定・改正によって改変することは、立憲主義に真っ向から反し、到底許されない。
4 安保法制関連法案が我が国及び国民に及ぼす影響
(1)戦争する国への変貌
集団的自衛権の行使や集団安全保障措置の一環としての武力措置への参加は、戦争そのものである。安保法制によりこれらが認められれば、日本は国際法上認められている3つの例外すべてについて武力を行使しうることとなる。
また、外国軍隊の武力行使と一体化する「後方支援」や、任務遂行のための武器使用を認めれば、自衛隊が紛争に巻き込まれ、本格的戦争にまで発展するおそれが極めて高い。
つまり、安保法制関連法案が成立すれば、自衛隊は「自衛のための必要最小限の実力組織」から、「武力行使のための軍隊」へと変質し、日本は戦争する国へと変貌することになる。そして、これまで積み上げてきた平和国家としての国際的信頼は失われる。
(2)国民が危険にさらされることになること
安保法制関連法案が成立すれば、戦争に参加する自衛隊員に死傷者が出ることは避けられない。
また、日本は、参戦によって、中立国から紛争当事国となる。これにより、日本人を対象にしたテロが国内外で発生するリスクや、在日米軍基地やその周辺地域が攻撃されるリスクが高まり、多くの国民が危険にさらされることとなる。

第2 各法案の問題点

1 集団的自衛権の行使、集団安全保障措置の一環としての武力措置への参加を可能にする法案について
(1)法改正の内容
従来は、憲法9条のもとで、我が国に対する急迫不正の侵害があった際に、自衛のために必要な最小限度の武力行使のみが許されるとされてきた。
しかし、政府は、武力攻撃事態対処法を事態対処法に改正するとともに自衛隊法を改正して、2014年(平成26年)7月1日の閣議決定(以下「本閣議決定」という。)で定めた3つの要件(以下「新3要件」という。)、すなわち、①我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、を満たせば、武力を行使できるようにしようとしている。
これにより、これまで憲法9条に違反して許されないとされてきた集団的自衛権の行使及び集団安全保障措置の一環としての武力措置への参加が可能となる。
(2)問題点
ア 憲法9条1項及び2項に違反すること
自国が攻撃されていないのに、他国に対する武力攻撃を契機に日本が武力を行使することは、国際武力紛争(=戦争)への参加であり、憲法9条1項に違反する。
また、このように武力行使する実力組織は9条2項の「戦力」に該当し、このような武力行使は、9条2項の「交戦権」の行使に該当することから、憲法9条2項にも違反する。
イ 要件が曖昧、相手国も限定されていない、地理的限定なし
「我が国の存立が脅かされ」「国民の権利が根底から覆される」等というのは、曖昧かつ抽象的な不確定概念である。また、「明白な危険」というのは、従来の「急迫不正の侵害」と異なり、将来に向けた主観的判断に過ぎない。安倍総理は、ホルムズ海峡が機雷封鎖された場合等、我が国の経済に影響を及ぼしうる場合にも集団的自衛権を行使しうると答弁しているが、公明党は、ホルムズ海峡が機雷封鎖された場合、他地域からの原油輸入など代替策を確保すれば武力行使となる掃海はできないとの立場をとっていると伝えられている。この要件は、このように与党間においてすら解釈が一致しない曖昧なものである。そもそも経済権益の保護を理由に海外で武力行使をすることを憲法が認めているとは到底考えられない。そのような武力行使も可能になるとの答弁がなされるほどに、この要件は拡大解釈される恐れが大きいものである。この要件の下では、戦争に参加するか否かという重大な判断が、時の政府の裁量に委ねられることとなる。
また、「我が国と密接な関係にある他国」について、横畠内閣法制局長官は「武力攻撃に共同で対処しようとする意思を共有する国」と答弁しており(参議院予算委員会(第186回国会閉会後)会議録第1号、2014年(平成26年)7月15日)、実質的には全く限定がない。
さらに自衛隊の活動地域についても、従来の「日本の領域及びその周辺」といった限定は完全に取り払われ、地理的限定が一切ない世界規模での自衛隊の出動が予定されている。
ウ 国会承認は事後でもよい、秘密保護法により形式的承認となる
自衛隊の出動にあたり、国会の承認は「原則として事前に」とされており、事後承認が許容されている。国会の事前承認なしに政府が自衛隊を海外に派遣し、他国と戦闘状態になった後に、国会が事後承認を否決したとしても、いったん発生した戦闘状態を終了させることは容易ではないと考えられる。政府の誤った判断によって我が国が取り返しのつかない状況に陥ってしまう危険がある。
さらに、国会が承認するかどうかを判断するにあたって必要な情報が、特定秘密に該当するとして開示されない可能性も高く、国会承認自体が形式的なものとなりかねない。
エ 国際法に違反するおそれすらある
(ア)国際法上要求されている要件を充足しない
集団的自衛権を行使するにあたっては、国際法上、①武力攻撃の発生、②反撃行為の必要性、③武力攻撃と反撃行為との均衡性、④被攻撃国による攻撃事実の宣言、⑤被攻撃国からの支援要請、の5つの要件をすべて満たすことが必要であるとされている(ニカラグア事件に関する1986年6月27日国際司法裁判所判決)。
しかるに、武力攻撃事態対処法が定めるのは、上述した新3要件のみである。これでは上記④、⑤の要件を充足しない場合でも集団的自衛権を行使しうることとなり、国際法に違反するおそれがある。
(イ)侵略への荷担
安倍総理は、「我が国と密接な関係にある他国」が先制攻撃を行い、それに対する反撃を受けた場合でも、新3要件を満たせば集団的自衛権を行使しうる旨答弁した(2015年(平成27年)2月2日参議院予算委員会)。
しかし、先制攻撃は侵略行為そのものであり、これと一緒に武力を行使することは侵略に対する荷担である。侵略もそれへの荷担も、国際法に違反することは明らかである。

2 外国軍隊に対する「後方支援」を可能にする法案について
(1)法改正の内容~国際平和支援法と重要影響事態安全確保法
従来は、外国軍隊の後方支援活動等を行う場合、旧テロ対策特措法、旧補給支援特措法、旧イラク特措法等の特別措置法により、目的、期限を定めたうえで対応してきた。
しかし、政府は、恒久法である国際平和支援法を制定し、「国際平和共同対処事態」に該当する場合には、個別立法を経ずにいつでも自衛隊を海外に派遣して、戦争等を遂行する外国軍隊に対する「後方支援」ができるようにしようとしている。
また、周辺事態法を改正して重要影響事態安全確保法を制定するとともに、周辺事態船舶検査活動法を船舶検査活動法に改正して、「重要影響事態」に該当する場合にも外国軍隊に対する「後方支援」ができるようにしようとしている。
(2)問題点
ア 自衛隊が戦闘に巻き込まれるリスクが飛躍的に高まる
(ア)非戦闘地域から非戦闘現場へ
従来は、自衛隊の活動が他国の武力行使と一体化しないようにするために、支援活動の実施場所を、「非戦闘地域」すなわち「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」に限定してきた。
しかし、法改正により支援活動の実施場所は、「現に戦闘行為を行っている現場ではない場所」に拡大される。すなわち、現に殺傷・破壊が行われている現場でなければ、そこで実施される活動の期間内に戦闘行為が行われる可能性がある場所であっても自衛隊の活動が可能となる。
また、支援活動の実施中にその実施場所が「戦闘行為を行っている現場」になり又はそれが予測される場合、支援活動を一時休止することになるが、捜索・救助活動は継続が許容される場合があるとされている。
(イ)弾薬の提供も可能に
従来は、弾薬の提供や、戦闘発進準備中の航空機への給油・整備は他国の武力行使と一体化するためできないとされてきた。
しかし、法改正によってこれらも可能となる。これらは戦闘行為の一部を直接的に担うものに他ならず、他国の武力行使と一体化していることは明らかであるから、「武力の行使」に該当し、憲法9条1項に違反する。
(ウ)自衛隊員が戦闘に巻き込まれるリスクが飛躍的に高まる
戦闘地域においては、一般的に戦闘部隊よりも弾薬・燃料・食料を補給する後方支援部隊が狙われやすい。従来よりも戦闘現場に近づき、戦闘行為の一部である弾薬等の補給活動まで担うことになれば、自衛隊員が戦闘に巻き込まれるリスクは、従来とは比較にならないほど高まるといえる。
イ 要件が曖昧、支援対象国が拡大し活動地域は世界中に広がる、歯止めがない
(ア)抽象的かつ漠然とした「重要影響事態」
「重要影響事態」すなわち「我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態」というのは、極めて曖昧かつ抽象的な不確定概念であり、「脅威が世界のどの地域において発生しても、我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼしうる状況」だとする本閣議決定の情勢認識からすれば、世界中のあらゆる紛争が「重要影響事態」だということになりかねない。このような不確定概念を使用することによって、外国軍隊に対する後方支援を開始するか否かという重大な判断が、時の政府の裁量に委ねられることとなる。
(イ)国連の「当該事態に関連して国連加盟国の取組を求める決議」があればよい
国際平和支援法では、自衛隊を派遣する要件の1つとして、国連の「当該事態が平和に対する脅威又は平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国連加盟国の取組を求める決議」が定められているが、この「当該事態に関連して国連加盟国の取組を求める決議」というのは曖昧であり、限定要件としては機能しえないし、国際法上の正当性が疑われる戦争に自衛隊が派遣されることにもなりかねない。
例えば、旧イラク特措法(2003年)に基づき自衛隊を派遣する際に、10年以上前(1990年)になされた湾岸戦争に関する国連安保理決議が根拠とされたように、およそ関連性があるとはいえない国連決議を援用して自衛隊の派遣が決定される事態が繰り返されるおそれが高い。
(ウ)活動地域が世界中に広がる
重要影響事態安全確保法では、支援対象国が米国に限定されず、米軍以外の他国軍にも拡大され、自衛隊の活動地域は、「我が国領域及びその周辺」に限定されず、世界中に拡大される。この結果、世界中に展開する米軍やその他の関係国が行う戦争その他の紛争について、広くこの法律が適用され、自衛隊は、公海・公空はもとより、同意を得た外国の領域にまで活動地域が広げられることになる。
(エ)歯止めがない(事前承認に「抜け道」がある)
国際平和支援法では、国連決議が必要なうえ、自衛隊の派遣には例外なく国会の事前承認が必要とされており、一見、歯止めがきいているように見える。しかし、時の政府が外国軍隊に対する後方支援を実施させるため自衛隊を派遣したいと考えた場合に、国連決議や国会の事前承認が得られないときは、国際平和支援法の代わりに重要影響事態安全確保法を適用するという「抜け道」が存在する。重要影響事態安全確保法では、国連決議は不要であり、国会承認も原則事前とされているだけで、例外として緊急時は事後承認が認められる。「重要影響事態」は前記のとおり不確定な概念であるから、この「抜け道」の利用は容易である。したがって、歯止めは存在しないに等しい。

3 国際平和協力活動における自衛隊の活動領域を拡大し、武器使用基準を緩和する法案について
(1)法改正の内容
ア 自衛隊の活動領域の拡大
従来は、PKO協力法に基づいて自衛隊が派遣される場合、国連が安全保障理事会(または総会)の決議に基づいて組織し、国連が統括する平和維持軍の下で、国際平和協力業務に加わるというのが、基本的な性格であった。また、2003年の自衛隊イラク派遣のような国連決議に基づかない多国籍軍の活動に協力する自衛隊の活動は、「人道復興支援」に限定されていた。
しかし、政府は、PKO協力法を改正し、「国連決議に基づかない活動」や「国連が統括しない国際連携平和安全活動」にも参加できるようにするとともに、自衛隊の任務を「安全確保活動」や「駆け付け警護」等、リスクの高い活動も行えるように変更し、国際的な「平和維持活動」「平和協力活動」とされるあらゆる活動に自衛隊が参加できるようにしようとしている。これにより、例えばアフガニスタンでのISAF(国際治安支援部隊)や、イラクでの多国籍軍による治安維持活動など、有志連合による活動にも参加できることとなる。
イ 武器使用基準の緩和
従来は、自己保存型の武器使用しか認めてこなかった。武力の行使を禁止する憲法9条の下では、「自然的権利」に基づく自己保存型の武器使用のみがかろうじて許容されているに過ぎず、これ以外の武器使用が認められる余地はないからである。
しかし、政府は、PKO協力法を改正し、新たに認める自衛隊の任務(駆け付け警護、安全確保活動等)を遂行するために武器を使用できるようにしようとしている。海外で活動する自衛隊が自己保存型の武器使用を超える武器使用を行うことは「武力の行使」に該当し、憲法9条1項に違反する。
(2)問題点
ア 自衛隊員に戦闘による死傷者が出ることになること
治安維持は、戦闘等と比べても危険性が低いとはいえない活動である。現にアフガニスタンに展開したISAFの治安維持活動では、タリバン等との戦闘による各国軍隊の死者が3495人にものぼっている。
例えば、自衛隊が安全確保活動や駆けつけ警護等の任務を遂行するために現地の武装勢力等に対して武器を使用した場合、攻撃を受けた武装勢力等は当然これに応戦することとなる。こうした武器使用の応酬から、自衛隊員に戦闘による死傷者が出ることは避けられない。
イ 武力紛争へと発展するおそれが高いこと
しかも、武器の使用は、現場の個々の自衛隊員の権限であり、最終的には現場の部隊指揮官の判断に委ねられる。
文民統制が及び得ない現場の判断によりなされた武器の使用が、交戦状態、武力紛争へと発展していく危険は極めて大きい。

4 外国軍隊の武器等防護のための武器使用、及び在外邦人の救出等を可能にする法案について
(1)外国軍隊の武器等防護のための武器使用について
ア 法改正の内容
従来は、武器等防護のための武器使用は、自衛隊の武器等を防護する場合に限って認められてきた(自衛隊法95条)。
しかし、政府は、自衛隊法を改正して、他国軍の武器等を防護するためにも武器を使用できるようにしようとしている。
イ 問題点
(ア)憲法上許されないこと
従来政府は、自衛隊の武器等の防護を認めた現行法の規定について、自衛隊の武器等という我が国の防衛力を構成する重要な物的手段を破壊、奪取しようとする行為からこれらを防護するための「極めて受動的かつ限定的な必要最小限の行為」であるから許され憲法に違反しないと説明してきた。
この論理からすれば、外国軍隊の武器等を防護するための武器使用まで認める合理的な根拠を見い出すことは困難であり、米軍その他の外国軍隊等の武器等を防護するために自衛隊が他国に対して武器を使用することは「武力の行使」に該当し、憲法9条1項に違反すると考えられる。
(イ)武力紛争に発展するおそれが大きい
例えば自衛隊がこの規定に基づいてアメリカの艦艇を防護するために武器を使用した場合、攻撃国は自衛隊を敵とみなし、日本を敵国とみなす可能性が高い。そうなれば武器使用の応酬から、交戦状態となり、武力紛争にまで発展するおそれが大きい。
(2)在外邦人の救出について
ア 法改正の内容
従来は、自衛隊は緊急事態に際して在外邦人を輸送することはできるものの、救出のための活動をすることはできないとされてきた(自衛隊法84条の3)。
しかし、政府は、同法の規定を改正し、身柄を拘束される等した在外邦人を、自衛隊が救出できるようにしようとしている。
イ 問題点
在外邦人を救出するためには、敵対勢力が所在する場所に赴いて攻撃を加え、抵抗を抑圧するために、極めて強力な武器の使用が必要となる。かかる武器使用は、「武力の行使」に該当し、憲法9条1項に違反する。また、武器使用の応酬から交戦状態にまで発展する危険性も存する。
また、かかる活動は、救出対象である在外邦人の生命・身体をかえって危険にさらしかねないし、任務の遂行にあたる自衛隊員が死傷する危険性は避けがたい。

第3 結語
以上に述べたとおり、安保法制関連法案の内容は、憲法の恒久平和主義及び立憲主義に反する。
よって、当会は、上記決議の趣旨記載のとおり、これらの法案の制定に強く反対する旨決議するものである。
以上

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