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新潟県弁護士会 声明・意見書

司法修習生に対する給費制の維持を求める決議

2010-05-25

2010年11月1日から、司法修習制度における給費制が廃止され、希望者に対して国が修習資金を貸与する貸与制へと移行することが予定されている。

しかしながら、給費制を廃止することは、新しい法曹養成制度が「国民の社会生活上の医師」の養成を目指し、「市民の司法」を実現しようとしてきたことと背馳するものであり、到底承服できない。

そもそも、給費制は、司法修習生には修習専念義務が課され、兼職が禁止されていることと一体の制度であり、司法修習生が給費を受けつつ修習に専念することができる環境を保障することによって、司法修習生に対し、司法制度の一翼を担う使命を自覚し、高い公共心を醸成する役割を果たしてきた。弁護士は、弁護士法第1条の「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」との使命を自覚し、高い公共心をもって、国選弁護、当番弁護、法律援助事件、各種無料法律相談、委員会活動、公益的事件への取り組みなどの公共性・公益性をもった活動に従事し、社会的責任を果たしてきた。

現在の法曹養成制度の核となる法科大学院の学費は、国立大学の場合でも、3年間で300万円近くに達する。そのため、法科大学院生の過半数が法科大学院で奨学金を利用し、司法修習生になった時点では1000万円を超える債務を負っている者もいる。これに加え、給費制が廃止されることによる司法修習生の経済的負担は余りに過酷である。

さらに、司法試験の合格率が当初の予定を大幅に下回り、司法修習生の就職先の確保すら困難な状況から、法曹の仕事が、資格取得までの道のりは大変に険しい一方、資格を取得した後の展望も見えにくくなりつつある。そのため、法科大学院の志願者数は年々減少を続けている。

このように、司法修習生に対する給費制の廃止は、司法の一翼を担うにふさわしい優れた資質を備えた多様な人材を確保することができなくなるおそれをもたらし、弁護士となった者についても、その経済的負担の過酷さゆえに、公益的・公共的業務をおろそかにする傾向をもたらしかねない危険を孕むものである。

給費制廃止、貸与制の導入の法改正に際し、衆参両議院は、「法曹の使命の重要性や公共性に鑑み、高度の専門的能力と職業倫理を備えた法曹を養成する」との理念に基づき、「経済的事情から法曹の道を断念する事態を招くこと」のないよう附帯決議をしているが、現時点で給費制を廃止することは、上記附帯決議に述べられた理念に反し、その懸念を現実化するものである。

よって、当会は、国会、政府、最高裁判所に対し、2004年の裁判所法「改正」を見直し、または見直しを前提として同法の施行を延期し、司法修習生に対する給費制を維持することを強く求める。

以上、決議する。

 

2010(平成22)年5月21日

新潟県弁護士会定期総会