声明・意見書
2004年05月21日|声明・意見書
ヤミ金、オレオレ詐欺、架空請求等に対する取り組み強化の決議 決議理由
1.悪質商法の実情
平成15年度に県警に寄せられた相談のうち、ヤミ金や出会系サイトなどの『悪質取引』に関するものは、受理件数が1万5,000件余(ヤミ金を含む消費者金融関連9,000件、出会系サイト関連5,400件新潟日報2月20日)となっている。
新潟県の消費生活相談センターでも、平成16年度は、相談件数が前年同月比で大幅に増え(1月は1,159件、2月は1390件で、いずれも前年同月比1.5倍)、2月は総相談中、出会系サイトなどの情報料架空請求(弁護士の関与を示すものもあり)が半数に及んでいる。
これら『悪質商法』は、利息制限法を超えているとか、公序良俗に反して無効などというレベルでなく、ヤミ金、架空請求、オレオレ詐欺・恐喝など、明らかに刑罰法規に反する違法行為である。そのため、加害者を特定させず、対面取引をせず、他人名義の預金口座を不法利用するなどの手段がとられている。
また携帯やインターネット、郵便を利用するなどして、20代~30代を中心としながらも、対象は無差別であり、現実の被害者の何倍、何十倍もの人達がターゲットにされているのが実情である。
これまでの消費者被害が、被害者側にも何らかの落ち度がある特定の人達に偏る傾向があったが、最近の『悪質商法』は、いつでも、どこでも、だれでも、チョッと油断すると被害者になりうるという特徴がある。
2.悪質な人権侵害と事態の深刻性
これら『悪質商法』は、商取引とは無縁の、犯罪行為であり、現実の被害者やターゲットとされた多くの人達の財産権に対する侵害行為である。
『悪質商法』は、無差別的に一般の市民を対象とし、その被害も、広く深く進行しており、多くの市民の平穏な生活を脅かす事態となっている。
したがって一般市民の財産権の侵害、平穏な生活権の侵害という観点からも、無視出来ない状況に至っている。
3.会として特別の取組をする必要性
会員弁護士は、これら『悪質商法』を含む様々な消費者被害救済のための取組をしてきた。また当会も消費者委員会を中心としながら、消費者被害の相談・救済、予防活動や消費者被害防止のための立法活動などの取組をしてきた。このような活動を踏まえて、以下の事情から、『悪質商法』にたいして特別の体制を組んで取組を強化するものである。
- 『悪質商法』は、刑罰法規に触れる明確な人権侵害行為であり、且つ被害が県民各層に広がっており、特定の人達に対する個別の被害救済事件としては把握しきれないほど深刻になっている。
- この種事案では、個別被害救済の側面はもちろんとして、青少年を中心とした消費者教育、あるいは事前予防についての啓発的な活動が不可欠となっており、この点で行政は勿論として弁護士会が積極的な役割を果たすべきである。
4.取り組み強化月間の設定と活動内容
『悪質商法』の取り組みに、メリハリをもたせ、より効果的に遂行するため、取り組み強化月間を設定し以下の活動をするものである。
(1)平成16年9月をヤミ金、オレオレ詐欺、架空請求等に対する取り組み月間とし、以下の活動を強化する
- 電話・対面による相談活動や個別被害救済、悪質事案についての告訴や悪用口座の差し止め活動など
- ヤミ金、オレオレ詐欺、架空請求等に関するリーフレーットやポスターの作成と行政や各種団体の協力を得た配付活動
- 消費者委員会が進めている「学校へ行こう」(高校生向きの消費者教育の取り組み)を月間にこだわらず強化する。
- マスコミ報道や特別企画の要請
- 相談員の簡便な手引きの作成と月間中の相談実績の集約
(2)月間遂行のための組織体制等
消費者保護委員会を中心にしながらも、会員の協力を得て「月間遂行のための実行委員会」を立ち上げ、また相談活動協力会員を募集し、月間中の相談(電話を含む)に対応する。弁護士会館に、月間中専用電話(この間臨時職員採用)を設置する。
新潟県弁護士会
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