新潟県弁護士会 – 弁護士会

声明・意見書

2019年06月13日|声明・意見書

原状回復義務に関し、公営住宅などにおける家具固定の普及策を求める会長声明

1 1964年6月16日、新潟県をマグニチュード7・5の地震が襲い、
 26名もの人命が失われた。その後、新潟県を中越地震、中越沖地震が襲
 い、それぞれ甚大な人的被害をもたらしている。
  地震による人的被害は過去の問題ではない。
  地震調査研究推進本部が、2015年1月1日時点で、佐渡島北方沖を
 震源とする海溝型地震(マグニチュード7・8前後)の30年以内の発生
 確率を3~6パーセント、糸魚川静岡構造線断層帯中北部区間を震源とす
 る地震(マグニチュード7・6前後)の30年以内の発生確率を13~3
 0パーセントとしているなど、新潟県内においても人命身体に危害を生じ
 させうる地震が発生する可能性は相当程度ある。
  そして、東京消防庁の資料において、近年発生した地震において、ケガ
 発生原因の約30~50パーセントが家具類の転倒・落下・移動によると
 されているところから明らかなとおり(中越地震41・2パーセント、中
 越沖地震40・7パーセント、宮城県北部地震49・4パーセントなど)、
 家具類の転倒・落下・移動を防止することが地震から人命身体を守るため
 に肝要であるし、その対策が急がれるべきである。
2 ところが、公営住宅や賃貸住宅において、借主が地震等による家具類の
 転倒・落下・移動防止のため措置(以下「家具転倒防止措置」という)を
 講じようとする際、原則として退去する際の原状回復義務が支障となる
 という現状がある。
  国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定
 版)」(以下「国交省ガイドライン」という)には、「壁等のくぎ穴、ネ
 ジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程
 度のもの)」について、「賃借人の使い方次第で発生したりしなかったり
 するもの(明らかに通常の使用による結果とはいえないもの)」として分
 類されており、「地震等に対する家具転倒防止の措置」もそこに含まれる
 とされているためである。公営住宅についてみても、新潟県は家具転倒防
 止のためのネジ穴等についても原状回復義務の対象としているし、新潟市
 や長岡市も特に原状回復義務の対象から除外はしていないし(現場におい
 て穴の大きさを見ての判断となる)、このような扱いを改める動きもない
 ようである。
3 この点、国交省ガイドラインにおいて「エアコン(賃借人所有)設置に
 よる壁のビス穴、跡」については、「エアコンについても、テレビ等と同
 様一般的な生活をしていくうえで必需品となってきており、その設置によ
 って生じたビス穴等は通常の損耗と考えられる」ことから原状回復義務の
 対象から除外されている点は参考にされるべきである。また、東京消防庁
 の調査 によれば、調査対象の59パーセントの人が家具の転倒・落下防
 止対策をしていることも併せ考慮すると、家具転倒防止措置のためのネジ
 穴についても、エアコン設置の際のビス穴、跡と同様に、通常損耗として
 原状回復義務の対象から原則として除外することが望ましい。
  他自治体の例をみると、2017年4月26日、東京都港区は条例や規
 則をあらたに制定することなく、区営住宅において、家具転倒防止のため
 にねじ穴を開けた場合に借主に原状回復を求めないことを明らかとした。
4 そこで、新潟県内の自治体は公営住宅について、賃貸業者においては賃
 貸住宅について、家具転倒防止措置のためのネジ穴等は原則として通常損
 耗にあたるものとして原状回復義務の対象から除外するものとの方針を明
 らかとすることを求める。あわせて、国土交通省においては国交省ガイド
 ラインを改訂する際には、「地震等に対する家具転倒防止の措置」のため
 生じたネジ穴等について「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても
 発生すると考えられるもの」として分類すること求める。

                2019年(令和元年)6月11日
                  新潟県弁護士会 
                   会 長  齋 藤   裕

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