新潟県弁護士会 – 弁護士会

声明・意見書

2019年08月16日|声明・意見書

歴史的な民事裁判記録の適切な保管を求める会長声明

 新潟日報の報道によると、「憲法判例百選第6版Ⅰ・Ⅱ」(有斐閣)所収の判決
(刑事事件を除く)のうち86パーセントの事件の記録が廃棄されていたとのこと
である。
 ここで問題とされている民事裁判における歴史的な文書の保管については、事件
記録等保存規程9条が定める。9条1項は、「記録又は事件書類で特別の事由によ
り保存の必要があるものは、保存期間満了の後も、その事由のある間保存しなけれ
ばならない、」同条2項は「記録又は事件書類で史料又は参考資料となるべきもの
は、保存期間満了の後も保存しなければならない」としている。そして、「事件記
録等保存規程の運用について」(平成4年2月7日事務総長依命通達)は、2項に
より特別保存されるべき事件書類の選定の指針として、「ア 重要な憲法判断が示
された事件 イ 重要な判例となった裁判がされた事件など法令の解釈運用上特に
参考となる判断が示された事件 ウ 訴訟運営上特に参考になる審理方式により処
理された事件 エ 世相を反映した事件で史料的価値の高いもの オ 全国的に社
会の耳目を集めた事件又は当該地方における特殊な意義を有する事件で特に重要な
もの」 カ 民事及び家事の紛争、少年非行などに関する調査研究の重要な参考資
料になる事件」を例示している。
 報道によると、自衛隊について違憲判断を示した長沼ナイキ訴訟についての事件
記録も廃棄されているとのことであり、「重要な憲法判断が示された事件」、「世
相を反映した事件で史料的価値の高いもの」、「全国的に社会の耳目を集めた事件」
に該当する記録が廃棄されたといえる可能性が否定できないと考える。
 また、日本社会の重要なターニングポイントとなった四大公害病訴訟の記録につ
いてみると、四日市公害訴訟、水俣病訴訟(熊本)、イタイイタイ病訴訟の各記録
は事件記録等保存規程に9条2項により、史料又は参考資料として特別保存されて
いる。また、新潟水俣病第一次訴訟に関する記録は、「特別の事由により保存の必
要がある」として、9条1項により「その事由のある間」特別保存することとされ
ている。
 そして、9条2項により特別保存されている記録については、平成25年6月1
4日内閣府大臣官房長・最高裁判所事務総局秘書課長・最高裁判所事務総局総務課
長申合せ「歴史資料としての重要な公文書等の適切な保存のための必要な措置につ
いて(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」
により、裁判所において保存するものを除き、歴史資料として重要な公文書等とし
て裁判所から内閣総理大臣に移管すべきとされている。
 つまり、四大公害病訴訟のうち3つの事件記録については国立公文書館に移管さ
れ、透明なルールのもとで写しの交付等もなされうるようになることが想定される
一方で、いち早く患者救済の判断を示した新潟水俣病第一次訴訟に関する記録につ
いては「史料又は参考資料となるべきもの」に該当するとはされず、今後の取扱い
が不透明なままとされている。
 このような取扱いは不均衡かつ不適正というべきであるし、是正がなされるべき
である。また、同様の事態が新潟水俣病第一次訴訟に関する記録についてのみ生じ
ていると判断すべき根拠もない。
 よって、史料的価値の高い民事裁判記録等が誤って破棄され、あるいは2項で特
別保存されるべきものが1項で特別保存されるという事態を解消するため、全国の
裁判所において現存する民事裁判記録の中に2項により特別保存されるべき記録が
ないかどうか及び1項により特別保存されている記録の中に2項により特別保存さ
れるべき記録がないかどうかの検証を行うこと、上記各検討についてはアーキビス
ト的視点を備えた研究者等を含む第三者委員会等を活用すること、今後の民事裁判
記録の廃棄に向けて第三者委員会等を活用した適正なチェック態勢を構築すること
を求める。
                     2019年(令和元年)8月8日
                      新潟県弁護士会
                       会長 齋 藤   裕

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