新潟県弁護士会 – 弁護士会

声明・意見書

2014年06月25日|声明・意見書

原発事故避難者に対する借上げ住宅制度の複数年単位の期間延長及び柔軟な運用を求める会長声明

1 本年5月28日、福島県は、福島県内市町村からの避難者への応急仮設住宅の供与期間を更に1年延長し(一部市町村を除く)、2015年(平成27年)4月1日から2016年(平成28年)3月31日までとすることを公表した。これを受け、本年6月19日、新潟県は、福島県からの要請により、応急仮設住宅の供与期間を前同様に1年間延長することを公表した。今回の供与期間の延長は避難者の生活支援という点から評価できる。この間、供与期間の延長のために奔走された関係各位の御尽力に敬意を表するものである。
2 福島第一原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)により、新潟県内には今なお約4300人の方々が避難しているところ、その多くが災害救助法に基づく「応急仮設住宅」としていわゆる「借上げ住宅」にて避難生活を送っている。新潟県内の避難者からは、複数年単位の期間延長及び住み替えの基準を緩やかにするといった柔軟な運用を図ることを求める切実な声が寄せられている。
新潟県が本年3月6日に公表した意向調査の結果では、今後の生活拠点について「生活拠点をどうするか未定」との回答が36%にも上り、行政への意見・要望について最も多い回答が「借上げ住宅の期間延長」であった。さらに、困りごと、不安なこととして、「先行きが不透明」といった回答もある。なお、住まいに関する避難者の声としては、昨年10月に公表された「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「子ども被災者支援法」という。)の基本的施策に関するパブリックコメントにおいても、借上げ住宅の供与期間の延長を求めるものや、その住み替えを認めてほしいといった声が多数寄せられていたところである。
3 本件事故から3年が経過した今もなお、除染作業は停滞した状況にある。避難者は、避難によって、家族、親戚、友人らと離ればなれになり、住み慣れたわが家を離れ、故郷を離れ、避難先における住環境、就労先、通学・通園先等の確保、移動に伴う負担等のため、様々な心理的・肉体的・経済的負担が生じている。
そもそも、福島県外への避難、避難先からの帰還、避難先での定住のいずれの選択も、被害者である福島県民にとっては苦渋の決断であり、本件事故がなければ自然豊かな故郷で安心して暮らすことができていたはずで、かかる苦渋の選択をする必要もなかったものである。
このような状況にあって、避難を選択する避難者にとって無償借上げ住宅の供与は必要不可欠となっている。
4 避難者の住まいに関しては、子ども被災者支援法において「移動先における住宅の確保に関する施策」を国は講ずる必要があるところ、現時点では、根拠法を災害救助法とする「応急仮設住宅の供与」としての運用にとどまり、その結果、単年度毎の供与期間の延長が繰り返されており、供与期間がいつまでなのかが不透明な事態が毎年繰り返されている。
子ども被災者支援法においては、避難、移住(定住)、帰還のいずれの選択をも尊重する旨定められているが、その趣旨は、いずれの選択をしたとしても、安定した生活基盤を確保することができ、それぞれの選択をした被災者が、将来への見通しを持った上で生活再建を図ることを目指すものである。
5 避難者の中には、「今後も1年単位での延長が続くようであれば、子どもの進学先を決めることができず、将来設計ができない」として、今回の期間延長決定前にやむなく福島県内への帰還を選択した者が少なくない。また、ある避難者は「次の更新の期限が発表されるまで今後の見通しが立たず不安な気持ちになる」として心理的に不安定な状況に追い込まれている。
避難者の「避難」という選択を実質的に保障するためには、結果として供与期間が延長されれば足りるものではない。避難者が将来の見通しや希望を持ち、真に自己決定による生活再建を図るためには、複数年単位の供与期間の延長が不可欠なのである。
6 また、「避難から3年が経過したが、子どもが大きくなり、住み替えを希望したが無理と言われた」との相談も多く寄せられているところである。多くの避難者は、当初、生活環境等を熟慮することなく緊急避難的に借上げ住宅に入居し、避難を実施した。しかし、入居から3年が経過した今、就学状況、就労状況、さらには世帯構成の変化等に伴い、それぞれの避難者が必要とする住宅環境は大きく変化している。避難するといった選択を実質的に保障するためには、合理的な理由がある場合は借上げ住宅の住み替えを認めるなどの柔軟な運用に改められなければならない。
7 これらの借上げ住宅を巡る問題は、長期かつ広域的な避難が生じているという本件事故の特殊性を踏まえることなく、従来の自然災害と同じ枠組みによって、災害救助法を運用しているために生じたものである。本件事故の特殊性を踏まえ、避難者の安定した生活基盤を確保した上での生活再建を図るためには、借上げ住宅の供与期限を複数年単位で延長すること、及び借上げ住宅の住み替えについて柔軟な運用がなされなければならない。
そこで、当会は、国に対して、避難者に対する住宅供与期間を1年ごとに延長するという制度を改めるよう抜本的な立法措置を講ずることを求めるとともに、国及び福島県に対し、避難者の意向や生活実態に応じて複数年単位の期間延長及び機動的かつ弾力的に転居を認めるよう抜本的に制度を改めることを求める。

2014年(平成26年)6月24日
新潟県弁護士会会長 小泉一樹

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