新潟県弁護士会

声明・意見書

2014年10月8日|声明・意見書

司法予算の大幅増額を求める会長声明

1 2001年に出された司法制度改革審議会意見書(以下「意見書」という。)は、裁判所等の人的物的体制の充実を含む司法制度改革を実現するため、司法に対して財政面から十分な手当をすべく、政府に対して、必要な財政上の措置について特段の配慮を求めた。
ところが、その後の司法予算は、裁判員裁判対策の点を除けば年々減少を続け、国家予算に占める割合は概ね0.3%台で推移している。平成26年度予算は約122億円の増額となっているが、給与特例法の失効に基づく人件費の増額分約171億円の含んだものであるから、実質的には約49億円の減額である。
このような政府の措置は、意見書が求めた財政上の特段の配慮を、政府が怠ってきたことの表れであり、国民の裁判を受ける権利(憲法32条)を実質化する責務を果たしてこなかったと評されるものである。政府が、「安心安全な社会」を目指すのであれば、国民の身近にあって、利用しやすく、頼もしい司法を全国各地で実現すべく司法予算の増大を図らなければならない。
2 近年、家事事件は一貫して増加し、調停事件は多様化、複雑化が進み、面会交流事件でも困難な事件が増加している。また、成年後見事件の激増は誰の目にも明らかである。
裁判官や書記官は、本来行うべき申立内容の確認や後見業務の打合せなどを参与員に依頼するなど、多忙を極めている。裁判官、書記官及び職員の増員や家庭裁判所調査官の活用などの人的側面、調停室・待ち合わせ室等の増設や裁判所支部、家庭裁判所出張所の新設及び復活、家庭裁判所出張所の機能拡充など物的側面について抜本的強化が必要である。特に、家庭裁判所関連の予算については、飛躍的な拡充が必要不可欠である。
3 一方で、家庭裁判所以外の司法予算が減少に転じていることも問題である。なるほど、消費者金融事件・破産事件の減少等によって、地方裁判所などの取扱事件数は減少している。しかしながら、元々裁判官の勤務の過酷さは異常な状態であり、事件数の減少があったとしても、その異常さが解消されるまでには至っていない。そのために、過払金返還請求事件など定型の訴訟を除き、審理時間が逆に長期化しているものもある。
また、書記官やその他裁判所職員への権限の大幅委譲がなされているため、書記官らの繁忙さは激化の一途を辿っている。地方裁判所等の予算について現在も大幅な増加が必要な状態は変わっていないのである。
さらに、各地で強い要望が上がっている労働審判や裁判員裁判を実施できる支部の拡大や廃止された支部の復活、裁判官の常駐など、国民の強い要望のある基盤の整備を必要とする点からも、司法予算の増大は大きな課題である。
4 国家財政が悪化している現状においては、司法予算を大幅に増加することは難しいとの意見がある。しかし、もともと司法予算があまりにも小さかったため、司法の使い勝手が悪く、その改善を図るべく、小さな司法から大きな司法を目指し、司法制度改革審議会意見書の提言がなされたのである。国民の裁判を受ける権利の実質化・充実化のためには、国家財政の増減にかかわらず司法予算の増加を図らなければならない。最高裁判所においても、限られた予算の範囲でやりくりするのではなく、今よりはるかに多い司法予算が必要であることを社会に向かって大きく訴えるべきである。
5 新潟県に限ってみても、南北に長い海岸線を有する広大な県であり、かつ、全国有数の豪雪地帯を抱えているという地域の特性に見合った裁判所の人的物的施設の整備は図られてこなかった。
まず、裁判を受ける権利の実質的保障に悖るものとして、昭和63年には巻簡易裁判所・小千谷簡易裁判所が廃止され、平成2年5月には新潟地方・家庭裁判所村上支部、六日町支部、柏崎支部、糸魚川支部の4支部が廃止された。それに伴い、家庭裁判所出張所が新設され、家庭裁判所支部廃止の代替措置として出張事件処理を行うこととなったが、事件処理は全く行われず受付業務のみである。その他の事務は、村上出張所については新発田支部で、南魚沼出張所及び柏崎出張所については長岡支部で、糸魚川出張所については高田支部で行われている。かかる取扱いが地域住民の司法アクセスへの物理的・心理的障がいとなっている事実はいうまでもない。一方、従来から存在する新潟家庭裁判所十日町出張所では、調停、審判、少年事件等の取扱いが実施されている。同じ出張所でありながら、その取扱いの差異についての根拠や理由が示されていない。
さらに、県内の裁判員裁判、労働審判手続、行政訴訟事件については、新潟地方裁判所本庁のみの扱いであり、かつ、簡易裁判所の刑事を除く判決に対する控訴事件は、全て新潟地方裁判所本庁でしか扱われていない。合議事件についても、新発田支部、佐渡支部、三条支部の合議事件は、本庁で扱うこととされている。
そこで、当会は、平成23年2月の臨時総会にて「裁判所支部の充実を求める決議」を採択し、同25年2月の臨時総会では「新潟地方裁判所、家庭裁判所の村上支部、柏崎支部、南魚沼支部、糸魚川支部、十日町支部の設置の実現に向けた決議」を採択した。続けて、同年11月には、地元国会議員、市長、村長、地方議員や多数の地域住民等が参加した「日弁連地域司法キャラバンin柏崎」を実施するなど、活発な運動を展開してきた。こうした運動によって、県内の裁判所体制の実情に対する地域住民の理解を深めることができただけでなく、現実に地域司法の充実を望む地元住民の声が数多く寄せられた。このような地域司法の充実を望む地域住民の声を十分に反映させ、人的物的施設の拡充を実現していくためにも、司法予算の大幅増額が必要不可欠である。
以上から、最高裁判所においては、まず平成27年度から大幅な司法予算の増額を要求すべきであり、財務省あるいは政府においては、それを受けて大幅な司法予算の増加を認めるべきである。

2014年(平成26年)10月7日
新潟県弁護士会
会 長  小 泉 一 樹

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