新潟県弁護士会 – 弁護士会

声明・意見書

2020年02月12日|声明・意見書

日本国憲法に基づきフリーランスの社会保障を充実し、その一環として国民健康保険法改正・同法の運用改善をすることを求める意見書

意見の趣旨
1 政府は、フリーランスの社会保障を充実させる政策を策定、実行すべき
 である。
  その一環として、国民健康保険法を改正し、国民健康保険組合の設立・
 管掌地域変更の要件を緩和すべきである。
2 都道府県知事は、国民健康保険法17条等の認可について、問題となる
 国民健康保険組合の組合員であるフリーランスらが社会保険加入者等と均
 衡の取れた処遇を受けることの重要性も踏まえ、柔軟な対応を取るべきで
 ある。

意見の理由
1 日本国憲法の立場
  日本国憲法25条2項は、「国は、すべての生活部面について、社会福
 祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規
 定する。
  同規定は、生存権を保障するものであるところ、生存権は、個人が誇り
 をもった自律的な存在としてその生を全うするために不可欠なものであり
 (佐藤幸治「日本国憲法論」362ページ)、国政の上で尊重されるべき
 は当然である。
  そして、この25条2項の具体的保障として、社会保険や国民健康保険
 などの社会保険制度が構築されている。
  そして、社会保障制度についても憲法14条が妥当し、その制度におい
 て合理性のない差別が許されないことは言うまでもない。
2 社会保険から排除されるフリーランス
  しかるに、現行制度において、フリーランスは社会保険から排除され、
 被用者と比べ社会保障上不利な立場に置かれている。
  「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」のヒアリング
 資料にも、フリーランスの「健康保険について、国民健康保険だと少し
 高」い、「フリーランスの多くは個人事業主で自治体の国民健康保険に
 入っているが、業種別の国保や健康保険組合と比較して保険料が高額で
 あり、予防医療の観点もないため、個人事業主向けの国民健康保険がで
 きればよい」との切実な声が掲載されているところである。
  政府は、フリーランスを含む多様な働き方を選択できる環境を整備す
 べきものとしているが、そうであれば、上記した憲法上の要請も踏まえ、
 フリーランスの社会保障を充実させる政策を策定、実行すべきものであ
 る。
3 国民健康保険組合法の改正
  そのような社会保障改革の上で重要なのが国民健康保険組合の活用で
 ある。
  上記「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」のヒアリ
 ング資料でも、「社会保障に関しては、国民健康保険組合の存在が大き
 なセーフティネットとなっている」(協同組合日本イラストレーション
 協会)との指摘がなされているところである。
  国民健康保険組合は、「皆保険制度の実施以前から業種別母体組織を
 軸として連帯意識と相扶共済の精神に基づき、組合方式による保険者機
 能を発揮した事業運営を通じて、国民健康保険制度の先駆的な保険者と
 して、医療保険制度の発展に貢献してきた」(全国国民健康保険組合協
 会「国民健康保険組合の保険者機能の充実」)ものである。そして、現
 在においても、組合員に、合理的な保険料での国民健康保険を提供し、
 よってフリーランスが社会保険に加入できないことの不均衡を一定の範
 囲で是正し、社会保障の重要な一翼を担っているものである。
  しかし、国民健康保険法17条、27条2項は、国民健康保険組合の
 設立や管掌地域変更について都道府県知事の認可を要件としている。そ
 して、17条については「当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業
 の運営に支障を及ぼさないと認めるとき」との要件が付されている。し
 かし、このような要件では、わずかな支障さえあれば設立を認めないと
 いうことになりかねない。また、27条2項については要件すら定めら
 れておらず、都道府県知事による恣意的な運用を排除することができない。
  社会保障はフリーランスや被用者を含むすべての市民に平等に提供さ
 れなくてはならないものであり、またフリーランスという働き方を選択
 できる環境を整備する必要があるというのであるから、フリーランスに
 とっての社会保険の代替物というべき国民健康保険組合の設立やその管
 掌地域変更は積極的に認められるべきものである。
  よって、国民健康保険法については、国民健康保険組合の設立や管掌
 地域変更が当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の運営に重大な
 支障を与えることが明白な場合以外は認可しなければならないとするな
 ど、認可要件の見直しを行うべきである。
4 都道府県知事による柔軟な認可権の行使
  上記のとおり、国民健康保険法自体改正されるべきではあるが、上記
 日本国憲法25条2項の趣旨、フリーランスという働き方を選択できる
 環境を整備する必要性の高さに鑑み、都道府県知事においては、当該都
 道府県内の市町村の国民健康保険事業の運営に重大な支障を及ぼさない
 と認めるときを除き国民健康保険組合の設立や管掌地域変更を認可する
 という柔軟な姿勢を期待するものである。
                               以上 
                    令和2年2月12日  
                      新潟県弁護士会
                       会長 齋 藤   裕

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