新潟県弁護士会 – 弁護士会

声明・意見書

2007年02月28日|声明・意見書

憲法改正国民投票法案に反対し、十分な国民的論議を求める決議

現国会では、憲法改正に関する国民投票法案が与党および民主党の双方から提出され、本年5月3日までの成立を目指すとして、修正協議等がなされている。しかしながら、その各修正案を含め、双方の法案には重大な問題がある。
そもそも憲法は、国の基本原則を定めるのみならず、国家の権力を制限し国民の人権を保障するため、そのよりどころとして制定されたものである。したがって、その改正は、国の基本原則と国民の人権保障の変更につながる。まして、一部で取り沙汰されている憲法の全面改正は、現在のわが国の成り立ちと人権保障の全面的な変更となるのであって、それは明治維新や戦後民主化にも匹敵する大改革である。
加えて、現行憲法は、国民自身、政府による戦争の惨禍に苦しみ、また周辺諸国民に対し多大の被害をもたらした反省に立って、侵略と戦争を捨て平和に徹し、民主主義を確立し、人権保障を貫く固い決意をもって、制定されたものである。
憲法の改正は、このような国と国民の自由や人権のあり方の変更につながるものであるから、国民の十分な理解と熟慮の上、将来の世代と世界に対し、重い責任をおって慎重に行うべきである。
こうした観点からすると、与党案および民主党案(その各修正案を含む)には、次のとおり重大な問題があり、看過することはできない。
第1に、憲法改正が国民の少数の判断で決定されるおそれのあることである。
与党案および民主党案は、ともに国民投票の最低投票率に関する規定を置いていない。その結果、たとえば投票率40%の場合には、投票権を有する国民の5分の 1程度の賛成で憲法改正が可能となる。これは、憲法の重要性、その改正の重大性に鑑みて極めて不合理であり、両法案はその基本的な制度設計において、重大な欠陥を有している。
第2に、自由で公正な国民の意思の形成が妨げられるおそれがある。
テレビ・ラジオ等のマスコミによるCM広告の影響力は大きい。これらを利用した広報は巨額の費用が必要であり、その利用は資金力によって大きく左右されてしまう。しかし、両法案は、政党の広報活動については定めるものの、それ以外の個人・団体が行う広報活動については何ら言及がない。これでは、マスコミの有料広告が資金力のある個人・団体に独占され、自由で公正な国民の意思形成が妨げられるおそれがある。
したがって、一定の公的ルールを設け、著しい情報格差を生じない配慮がなされるべきである。
第3に、国会の発議後、国民投票までの期間が短いため、国民の間で活発な議論と熟慮ができない。すなわち、両法案とも発議後60日以降180日以内に国民投票を実施するとしている。
しかし、憲法改正の具体的な内容は国会の発議によって初めて確定するところ、国のあり方を左右する重大な問題について、国民の間で活発な論議をし、主権者一人ひとりが熟慮して決断するには、「60日以降180日以内」はあまりに短い。
また第4に、国民の意思を正確に反映しないおそれがある。
両法案ともに、投票方法を国会に全面的に委ねている結果、一括投票の余地を残している。しかし、国民の意思は、少なくとも主要な争点ごとに、明らかにされるべきであり、その意思を正確に反映する制度が不可欠である。
さらには、憲法改正には国民の活発な論議が必要であるが、両法案は、この点でも問題を残している。公務員と教育者(教育関係者)全般について、「影響力または便益」を利用した国民投票運動を禁止しているからである。
国民投票運動の制約は、投票関係者などについては合理性があるものの、大部分の公務員や教育者には、むしろ自由な言論こそ保障されるべきである。安易な禁止は、公務員らの人権ひいては国民的な論議に配慮を欠くものである。
以上のとおり、現在の与党案および民主党案とも看過しがたい問題があり、その修正協議の状況を踏まえても、当会は、両案に反対せざるを得ない。
よって、国会においては、憲法改正にかかる国民投票法案の審議にあたっては、今国会の成立にこだわらず、国民的論議を十分尽くすよう求める次第である。

2007年(平成19年)2月28日
新潟県弁護士会臨時総会

連絡先・交通アクセス

新潟県弁護士会 新潟相談所

新潟県弁護士会

〒951-8126
新潟県新潟市中央区学校町通1番町1番地
TEL.025-222-5533TEL.025-222-5533詳しい情報を見る

交通アクセス

バス:新潟駅万代口から中央循環線バス乗車、市役所前下車。バス停より300m。
車:新潟駅から約10分。

  • 弁護士を講師として呼ぼう!弁護士派遣制度
  • ひまわり基金運営委員会 人権賞
  • 子どもの悩みごと相談 毎週月・木 16〜19時
  • 中小企業の法律相談はひまわりほっとダイヤルへ
  • twitter @mamorun2014
  • ひまわりお悩み110番 0570-783-110
  • ストップ、えん罪!
  • 司法修習生の方へ
  • 東口日本大震災の被災者の皆様へ
  • 新潟県弁護士会住宅紛争審査会
  • 日本司法支援センター 法テラス
  • 公益財団法人 日弁連法務研究財団
  • 関東弁護士会連合会
  • 2016年1月16日 防災シンポジウム 動画によるご紹介
  • 2016年1月16日 防災シンポジウムご報告
  • 弁護士になろう!
スマホ・パソコンからの
相談予約はこちら