新潟県弁護士会 – 弁護士会

声明・意見書

2004年05月21日|声明・意見書

司法改革関連法案についての決議

今通常国会では、裁判員法案など重要な司法改革関連法案が審議されており、これら法案は、日本の司法のあり方に大きな影響を与えるものである。

そこで、法案の重大性に鑑み、以下の通り当会の意見を述べるものである。

1.裁判員制度等について

(1)裁判員及び検察審査会委員の守秘義務について

裁判員の守秘義務については、当初法案が一部修正され、懲役刑の上限が当初の1年から6ケ月に引き下げられた。しかしながら、依然として、裁判員は任務中のみならず任務終了後においても、職務上知り得た秘密について守秘義務を負うとされ、違反について懲役刑が法定されている。

このような厳しい守秘義務を課すことは裁判員を萎縮させ、参加意欲を減退させ、ひいては国民の司法参加という本来の目的さえ制約しかねない問題である。

検察審査会委員についても、従来の罰金刑から、裁判員法案と同様に懲役刑が法定されることになる。

そもそも検察審査会委員については、特定の守秘義務違反について罰金刑が法定されていたが、実際には委員の良識に委ねられ、これまで罰則事案の発生は見られなかったものであり、いまさら懲役刑を加えることの必要性は到底考えられない。

裁判員・検察審査会委員については、任期中は、職務上知り得た事項について守秘義務の対象とするが、任務終了後は、自分以外の発言者が特定されるような形での評議内容の公開など一定の範囲に守秘義務を限定すべきである。また違反について罰則をもうけるにしても、現行検察審査会法と同様罰金刑にとどめるべきであるし、それで充分である。

(2)裁判官・裁判員の数について

裁判官と裁判員の数については、現在の部制度下では、3人の裁判官の一体性が強固であり、部総括裁判官の影響力の強さもあり、6名の裁判員が参加しても、市民の意見の反映は困難である。したがって裁判官は、1~2名とし、裁判員は9~10名とすべきである。

(3)評決について

評決について法案では過半数によるとされているが、評決は、全員一致を目指し、どうしてもそれに至らない場合のみ4分の3程度の特別多数決とすべきである。

2.刑事訴訟法改正について

(1)開示証拠の目的外使用の禁止について

刑事手続において検察官から開示される証拠の「複製等」を、他に交付するなどの行為を全面的に禁止し、被告人がこれに違反したときは懲役刑を含む罰則を科することとし、弁護人についても「対価として財産上の利益その他の利益を得る目的」がある場合は同様とされる。

この規定は、適用にあたって、被告人の防御権を踏まえて、諸事情を考慮する旨の修正がなされたが、依然として被告人の防御権を不当に制約するおそれがあり、また裁判公開制度や報道の自由とも抵触するおそれがあると言わざるを得ない。また修正条項自体が、諸事情を考慮して適用するというものであり、刑罰規定の構成要件としては、全く不明確で、恣意的運用を可能にするもので、罪刑法定主義に反するものである。

(2)取調べの可視化について

取調べの可視化は、世界の刑事手続の趨勢であり、予てよりその実現方が求められてきたところであるが、裁判員制度の導入にともない、不可欠な条件となってきた。公判中心主義を貫き、自白調書の任意性や検面調書の特信性などの審理・判断のためには、取調べ状況をビデオやテープに録音するなど、可視化の実現が不可欠であり、裁判員制度の導入とこれにともない刑事訴訟法を改正する場合、取調べの可視化が法律施行の必要条件であることを明確にすべきである。

(3)尋問・陳述制限の強化

刑事訴訟法第295条の尋問・陳述制限命令についての弁護士会への措置請求規定は、正当な弁護活動を萎縮させる危険性があり、撤回されるべきである。

3.代理人報酬敗訴者負担制度の導入について

法案は、双方に訴訟代理人が選任されている場合で、双方が共同で訴訟上申立てをした場合は「敗訴者負担」を適用するとする。

しかしながら、法律が制定されれば、敗訴者負担の規定を契約約款で導入する動きが広がり、約款についての実体法の解釈を含めて、なし崩し的に敗訴者負担制度が導入される危険性がある。

このままの立法化には反対であり、仮に立法化する場合には、少なくとも消費者契約、労働契約及び一方が優越的地位にある事業者間の契約についても、代理人報酬敗訴者負担条項の効力を否定するための立法化措置をとるべきである。

4.総合法律支援法案について

国選弁護、法律扶助の業務は、同法によって設置される日本司法支援センターに一元化される。刑事弁護人の活動は、被疑者・被告人の権利を護るため国家に対峙して職務を全うするところに制度の核心がある。また法律扶助案件の一定数は、国や行政機関などを相手方とする事件である。したがって、これらの分野で弁護士の職務を全うするためには、職務の国家からの独立性と弁護士自治が不可欠である。

しかしながら、同センターは、組織的にも業務上も、起訴をする側である法務省の監督を受けるとされており、他方で日弁連が人事、業務に関与すべき規定はもうけられていない。また担当弁護士の選任はすべて同センターが行い、弁護士が国選弁護や法律扶助案件を取り扱う際には、同センターの法律事務取扱規程によることとされている。したがって業務の受任、遂行段階においても、同センターを介して、弁護士活動が制約を受ける危険性が、存在すると言わざるを得ない。

同センターの組織・運営について、これまで国選弁護、法律扶助の活動を全面的に担ってきた弁護士会の意見が反映される仕組を作ること、また弁護士の職務遂行上の独立性が厳格に守られることが、法律上も明確にされるべきである。

当会は、本法案について、上記趣旨に則り修正がなされることを求め、人権擁護の制度的保障である業務の独立性、弁護士自治の擁護のために取りくむことを表明する。

また同センターに一元化することによって「安上がりで無責任」な国選弁護や法律扶助などという事態が発生しないよう、更には司法過疎等の克服などを含め、財政上の手当が充分なされることを求めていくものである。

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