新潟県弁護士会

声明・意見書

2010年12月10日|声明・意見書

裁判員裁判における死刑判決についての会長談話

11月16日、横浜地方裁判所において、強盗殺人等に問われた被告人に対して、裁判員裁判事件で初めての死刑判決が言い渡された。さらに、11月25日、仙台地方裁判所において、犯行当時18歳7か月であった少年に対して、死刑判決が言い渡され、12月7日、宮崎地方裁判所において、22歳の男性に対し、3例目の死刑判決が言い渡された。

裁判員制度下では、法定刑に死刑が含まれる重大事件は裁判員裁判対象事件とされており、特に検察官が死刑を求刑する場合には、一般市民から選任される裁判員は、死刑を選択すべきか否かの極めて重い判断に直面することとなる。

記者会見等の報道によれば、横浜地方裁判所の判決に関与した裁判員の多くは、短い期間で重い決断を下すことについての深い苦悩と大きな精神的負担があったとの感想を述べている。裁判長が、被告人に対して、「控訴を勧めます」との異例の説示を行ったことも、自分たちの判断だけで死刑を確定させたくないとの裁判員の心情に配慮したものであったとみられる。また、仙台地方裁判所の判決に関与した裁判員は、「一生悩み続ける」「判決を出すのが怖かった」との感想を述べ、判決言い渡しに際して涙をこぼしていた裁判員もいたという。

これらの判決については、各種報道においても、「死刑」という重大な決断を下すのに、裁判員の負担が大きすぎないか、3日間という評議の期間が十分であったか、少年事件については、少年法の理念に基づいて更生の可能性を検討する必要があり、短期間で裁判員から判断してもらうのは困難であるなどの意見がみられるところである。

これらの死刑判決は、そもそも死刑制度の存廃を含む在り方についての国民的議論を経ないまま、裁判員を死刑求刑事件の量刑に関与させることの問題点を示すものである。死刑制度そのものについて十分な情報開示や議論がないまま、裁判員を死刑判決に関与させることは、裁判員の精神的負担を著しく過重なものとする一方、死刑判決を下すのに十分な検討がなされたかについての懸念を残す結果となる。

とりわけ、少年に対する死刑については、子どもの権利条約は18歳未満の子どもに対する死刑を禁止しており、少年法も第51条で「罪を犯すとき18歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。」として、罪を犯した当時18歳未満の少年に対しては死刑を科さないとしている。これは、18歳未満で重大な事件を起こした少年の場合、成育過程においていくつものハンディを抱えていることが多く、精神的に未成熟であることから、あらためて成長と更生の機会を与え、自らの行為の重大性に向き合わせようとする趣旨である。本裁判における少年は犯行当時18歳であったが、これらの法の趣旨は、犯行当時18歳の少年に対する判決においても尊重されるべきである。しかし、短期間の審理の中で、裁判員が少年法の理念を十分に踏まえつつ、十分な証拠に基づいて判断を下すことは極めて困難な作業であると言わざるを得ない。

上記の点について十分な検討が行われるためにも、当会は、政府に対し、死刑確定者に対する処遇の実態や死刑執行方法などの情報を、今後裁判員となりうる国民一般に広く公開し、死刑制度の存廃を含む在り方について国民的議論を行うよう、改めて求めるものである。

2010年(平成22年)12月10日
新潟県弁護士会
会長 遠藤 達雄

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